2019年12月8日日曜日

ビューティフル・デイ YOU WERE NEVER REALLY HERE(2017)

スカっとしないイコライザー。でもそこがいい。


・元軍人が、さらわれた少女を救出する
・邪魔するやつはどんどん殺す
という前情報から興味を持って鑑賞。あと「ジョーカー」関連をたどってホアキン主演ということもあって。おもしろかった!

設定から「イコライザー」や「ジョン・ウィック」が連想されるけど「殺しの芸術」的な爽快感はまったくない。
「タクシードライバー」に近いリアルな暴力。何人も殺されるけどそれぞれ「ひとりの人間が死ぬ」そのことの重みを描いてる。
エンタメ要素はないんだけど、映像はとても美しい。放題に「ビューティフル・デイ」とつけられたのはそういう意味もあるだろう。

ホアキンの「ジョーカー」にはやはり並々ならぬ入魂が感じられるけど、これも負けてない。ギリギリのバランスで生きている男。
ただ体型は「教授のおかしな妄想殺人」のころに近いでっぷり感。でもむしろパワーは十分なので凶器のハンマーも超似合ってる。

見たあとに監督が女性と知ってびっくり。いわゆる「女性監督ならではの…」みたいな部分はあまり感じなかった。単純にすごい監督だと思う。

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/you_were_never_really_here

2019年10月5日土曜日

キング・オブ・コメディ(1983)

ジョーカーはいつ出てくるの? 


いつジョーカーが誕生するのかと思って見てたけど、最後までジョーカーにならなかった…。

ーーー
あ、違う映画だった。
ーーー
さて真面目に書くか。「ジョーカー」を見たくて予習のため鑑賞。町山さんのジョーカー評のなかでこの映画との関連を聞いたから。
コメディのショービジネス界をのし上がっていく一人の新人…的な話を想像してたんだけど、全然違った!
頭のおかしいストーカーの話だった!びっくりした~。
どう展開するのかまったく読めなくて、最後まで見入った。めちゃめちゃおもしろかった!

それにしてもデ・ニーロの不気味さ…。タクシードライバーと真逆の映画かと思ってたのにふとトラヴィスとイメージがかぶる。
コメディアンなのに頭おかしすぎてまったく笑えない。と思ってたら段々笑えてくるのが不思議!
やっぱりスコセッシすごい!こんな映画が成立するんだ…。

正直、そんなにジョーカーと関連ないよなぁと思って見たんだけど、まったくそんなことなかった。こいつがジョーカーになっても全然おかしくない。

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/1011623_king_of_comedy

2019年6月30日日曜日

イコライザー2 The Equalizer 2(2018)


なめてなくてもバッタバッタやられちゃう。


1も最高だったし2も最高なんだけど、ちょっと…な点もあるにはある。
まず敵がスケールダウンしてる。前作ラストで「そこまで広げる!?」と笑えるほどの壮大さがあっただけに、なんでこんなショボくなるの?
そもそも前作の最大の魅力「なめてた相手が実は…」感がない。お互いよく知ってるわけだし。
またやはり前作の魅力だった「そこらにあるものが凶器になる」展開も弱い。ホームグラウンドで対決したら強いに決まってるよ!
そしてクロエが出てない!変わりのマイルズ君、悪くはないけどね。

しかし個々の処刑タイムは最高!タクシー客とのエピソードも。
ただ、トム・クルーズやキアヌに比べるとスタントマンばれが多くて気になる。ハデさは必要ないからもっとデンゼル・ワシントン自身にやってほしい!

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/equalizer_2

2019年5月26日日曜日

デジャヴ Déjà Vu(2006)

雰囲気SFかと思ったらガチのSFだった!アクションと映像も一級。


トニー・スコット&デンゼル・ワシントンというので気になってたけど、Amazonレビューの高評価を信じて視聴。おもしろかった!
「デジャヴ」というタイトルから「不思議な能力を持った男が事件を解決する」的なSFかと思ってたけど、「ミッション: 8ミニッツ」に近いガチのSFだった。
主人公の巻き込まれ方や一線を超えるところに違和感があったけど、全体としてはグイグイ引き込まれた。

以下ネタばれ。
爆破テロの捜査に来た爆発物捜査のベテラン、デンゼル・ワシントンが、国家機密レベルの技術を使った特別捜査チームに加わる。
その技術とは、なんと時間をさかのぼってかつ空間も自由自在に移動して過去を見れるシステム!
ええっ!?こんな話なの!?とびっくり。巻き込まれたデンゼルもびっくりするかと思ったらすぐに順応してるし…。
この設定だけで一本の映画になりそうだけど、そこからどんどん意外な展開へ。
まず、過去を見るだけでなく、過去に干渉できる!過去にメモを送れる!J・P・ホーガンの「未来からのホットライン」か!
しかも「未来の自分からのメッセージ?」的なものを匂わせて、タイムパラドックスものに突入!
この設定だけでまた一本映画になりそう。
しかしさらに「本部から離れた地点を捜査するには、ハンディタイプの機械を持ってその場所に行かなければいけない」という設定が!このおかげで「安楽椅子探偵」ではいられない、アクション映画的な展開!
そしてついに「ターミネーター」式に自分自身が過去へ!!この展開は正直冷めかけたけど、まだまだ惹きつける!
「心臓が止まる」問題の解決法とか、ほんとに感心。すごい!
ラストはバッドエンドに見えてハッピーエンド。でもほんとにそうかな…みたいな余韻。

時間改変ものの宿命としてツッコミどころはたくさんあるけど、逆に「過去を変えたつもりが、それも仏様の手のひらだった!」「過去にこうしてたからあれが起きてたのか!」みたいな見どころもたくさん。おもしろかった!
高評価レビューがなかったら見てなかっただろうな。ありがとうレビュワーのみなさん!

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/deja_vu

2019年4月7日日曜日

ダークタワー The Dark Tower (2017)

■ダメそう感MAXだけど悪くない。というか最高!

・キングファン(IT、スタンド、アトランティス、ビュイックとかの向こう側の世界が大好物)
・特にタリスマン大好き
・ダークタワーシリーズは未読(叙事詩的な語り口に抵抗が…)
という状態で見たら、超おもしろかった。まったく期待してなかったっていうのもかなりプラスに働いた。
現代版タリスマンじゃないか!

主人公の少年ジェイクがよかった。辛い境遇に胸が痛む。この後の人生に幸あれ…。
キングの中間世界がらみの小説を知ってると、「ここがあのジャックが来た…ここにテッド・ブローティガンが連れて行かれた…」みたいな感動がある。でも知らない人には何も響かないだろうな…。
情け容赦なく死人が出るとこもキングらしくてよかった。
ガンスリンガーも黒衣の男もかっこいい。でも「こんなのローランドじゃない!」と嘆く気持ちもわかる。

原作は未読だけど、映画化するのがどれほど無謀かはわかってたから、よくぞここまでまとめたと拍手。
しっかしRottenTomatoesはじめあらゆる批評が低いなぁ。
やっぱり映画は見ないとわからない。自分にとってのおもしろさが全てだから。

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_dark_tower_2017

2019年4月2日火曜日

悪魔のいけにえ The Texas Chain Saw Massacre(1974)

■昔見れなかったのでリベンジ。たしかにこれは傑作だ!

学生時代、友人がビデオを借りてきたけど私は怖くて見れず…。その後、ホラー苦手ながらゾンビとか有名どころを見て、ついにこの映画にリベンジ。おもしろかった!怖さもやっぱり健在。

NHKラジオ「シネマストリップ」での高橋ヨシキ&源一郎氏の絶賛を聞き、しかもプライムだったので、これはもう見るしかない。
そのラジオで「美しい」と聞いて、「まさかぁ」と思ってたんだけど、確かに美しい!90年代ごろの映画には、今見るとひどくショボイものがあるけど、それとは全然違う。

テキサスの荒野と青い空。乾いた空気。夏の暑さ。これらはもちろん美しい。でも殺人鬼の狂気の家にも、何か得体の知れないものがある。美しいとか魅力的とは絶対に言いたくないけど。
しかしこの映画のなかの「乾き」と「狂気」は確かに超然としている。

ストーリーも「狂ってる」としか言いようのない展開で驚いた。何が起きるかまったく想像できない。BGMで緊張感をあおったりしない分、逆に常に緊張して見るしかない。そこにあまりにも突然で残酷無非な暴力が!しかも何度でも。最後の最後まで!

さすがに私自身大人になって、少し冷静に見れる部分もあって、例のおじいちゃんハンマーのシーンは笑ってしまった。でも学生時代に見たらどう思っただろう…。かなりショックを受けるんじゃないかな。いや、今見て受けたショックも相当なものだったなぁ。

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/1021112_texas_chainsaw_massacre

2019年4月1日月曜日

キラー・メイズ Dave Made a Maze (2017)



■予告のおもしろさを超えるのは難しいタイプの映画

予告見て、おもしろそう!ゴンドリーっぽい!と思って視聴。
おもしろかった!けど予告ですべて出てた。

もっともっとトラップのスリルや不条理を楽しみたかったけど、残念ながらそのへんはあまり深みがなかった。
主人公デイブのコンプレックスが反映されてる、という設定はよかった。
でももっと作り手が邪悪そうに見えたり、作ったはずのものに翻弄されるとこも深く掘ってほしかった。
何をどうすると解決するのか、見てるほうに伝わってこないので、納得感もない。

怪しい穴のとこで「罠だ!」を繰り返すギャグはすごくよかった。
いやいいとこもいっぱいあるんだよね。
でもどれももっとおもしろくなりそうな手前で、次に進んでしまう感があった。

とはいえおもしろかった!…けどね…、いや贅沢言っちゃいけないな…けどね…、となんか引きずってしまう。そんな映画。

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/dave_made_a_maze